テーマパークと普通の遊園地の違いって何だと思いますか?
私は、「テーマがあるか無いか」だと考えています。
東京ディズニーリゾートには、2つのテーマパーク(東京ディズニーランド/東京ディズニーシー)があります。
パーク内に見られるテーマ、テーマが織りなすテーマショーに着目してみると、新しい発見や驚きがあります。
今回は、知っていると東京ディズニーランド/シーがもっと面白くなるテーマショーについてのお話です。
Contents
ディズニーパークの神髄・テーマショー
そもそもテーマショーとはなんでしょうか?
東京ディズニーランド/シーは、それぞれ7つのエリアに分けられているのをご存知でしょうか。
東京ディズニーランドは7つのテーマランド
- ワールドバザール
- アドベンチャーランド
- ウエスタンランド
- クリッターカントリー
- ファンタジーランド
- トゥーンタウン
- トゥモローランド
東京ディズニーシーは7つのテーマポート
- メディテレーニアンハーバー
- アメリカンウォーターフロント
- ポートディスカバリー
- ロストリバーデルタ
- アラビアンコースト
- マーメイドラグーン
- ミステリアスアイランド
と、このように分けられています。
※2023年度、東京ディズニーシーに8番目のテーマポートが完成予定です。

各エリアのアトラクションやレストラン、流れる音楽、植えられている植物、建物の外観、あらゆるものがエリアのテーマに合わせて演出されているんです。
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの公式ホームページには、このように書かれています。
ディズニーの世界を演出するために、園内の建物から音楽にいたるまで、あらゆるものがテーマを持って設計され、非日常的な空間を創りだしています。
東京ディズニーランドや東京ディズニーシーは、訪れたゲストに様々な体験を提供するための「青空を背景とした巨大なステージ」であり、パーク内のあらゆるものがテーマショーという観点から考えられ、構成されています。そこにお迎えするお客様を「ゲスト」と呼び、我々はそうした舞台で働く従業員を「キャスト」と呼びます。ショーには、テーマやストーリーが必要であり、それぞれの施設、エリアにおいて、すべてのものが舞台装置として設定されたテーマをもとに統一されています。その中でゲストは冒険、歴史、ファンタジー、未来をテーマとした日常の生活には存在しないような憧れに彩られた世界を、人間の持つ五感すべてを使って楽しむことになります。これこそがディズニーの提供する“テーマショー”なのです。引用:パーク運営の基本理念
あらゆるものが、夢、冒険、歴史、未来などといった共通のテーマで演出されていることによって、リアリティのある非日常空間が完成するんですね。
例:ファンタジーランド
ディズニーの名作アニメーションや童話の世界がテーマ
- 中世ヨーロッパの街並み
- ディズニーの名曲がBGM
- 彫刻のようなトピアリー、色鮮やかな花壇
- ディズニーアニメーションの世界を楽しめるアトラクション
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例:トゥモローランド
未来や宇宙がテーマ
- 直線的で無機質な建物
- シンセサイザーの電子的なBGM
- 幾何学的に植えられた花壇
- 宇宙や異世界を楽しめるアトラクション
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例:東京ディズニーランドホテル
東京ディズニーランドホテルはヴィクトリア朝様式(19世紀~20世紀後半に流行したデザイン様式)を採用しています。
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奥が深いバックグラウンドストーリー
タワー・オブ・テラーにみる、バックグラウンドストーリーの面白さ
テーマショーにおいて、バックグラウンドストーリー(BGS)も欠かすことのできない要素です。
パーク内のアトラクションやレストランには、エリアのテーマに合わせたBGSが用意されていることが多いんですよ。
東京ディズニーリゾートのBGSに対するこだわりの強さを感じられるエピソードをひとつ紹介します。
2006年、東京ディズニーシーの「アメリカンウォーターフロント」という20世紀初頭のアメリカがテーマのエリア(の中のニューヨークエリア)にアトラクション「タワー・オブ・テラー」が導入されました。
このアトラクションは、フロリダのハリウッドスタジオにある「トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラー」とほぼ同じものです。

しかし、アトラクションのBGSが大きく違うんです。
ハリウッドスタジオ版では、SF映画『トワイライトゾーン/超次元の体験』の物語を基に、ハリウッドのホテルで起こる怪現象を体験するというアトラクションになっています。
でも、20世紀初頭のニューヨークをテーマにしている「アメリカンウォーターフロント」のニューヨークエリアにハリウッドのホテルを持ってくると、舞台設定に矛盾が生じてしまいますよね。
そこで東京ディズニーシー版「タワー・オブ・テラー」では、物語の舞台を19世紀末~20世紀のニューヨークに変更しました。
そして、「大富豪のハリソン・ハイタワー3世がホテルのエレベーター落下事故で行方不明になった」というオリジナルの物語を用意したのです。
ゲストは、ニューヨーク市保存協会(ニューヨークの歴史ある建造物を保護することを目的として設立)が主催するホテルの見学ツアーに参加する、という物語を体験するんです…!
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Qライン(待ち列)では、ハイタワー3世が世界各地から集めたコレクションの数々を見ることができ、ニューヨーク市保存協会の職員に扮するキャストによる説明を聞くことになります。
BGSがあることで、私たちはアトラクションを体験するまでの時間も飽きることなく、物語の登場人物になった気分でリアルな世界観に浸ることができますよね。
日常を見せないから魅力的な空間になる
メディテレーニアンハーバーは誇張されたイタリア?!
パーク内では、テーマ化された空間を完ぺきに作り上げるために、日常を感じさせる要素をゲストに見せないようにしています。
- パークの中からはビルや道路など、現実の風景が極力目に入らないように工夫されている
- TDSから見える東京湾は、パークと海の間を走る道路を隠すことで、まるでパーク内の海と繋がっているかのように見せている(借景)
- トイレの表示やゴミ箱(トラッシュカン)など日常で目にするものは、テーマに合わせたデザインになっている
また、実在する場所を再現する場合も同様です。
例えば東京ディズニーシーの玄関口「メディテレーニアンハーバー」は、南欧の海と街を再現しているエリアです。
そこにはイタリアのヴェネツィアをモチーフにした場所があって、建物の外観はもちろん、建物の傷み具合や運河などもリアルに再現しています。
その一方で、本物のヴェネツィアに見られる生活感のある洗濯物や、現代的な観光用ボートといったものは、シーのヴェネツィアには無いんですよね。
シーのヴェネツィアでは、レストランでピザやパスタのコース料理を食べることができ、ゴンドラを操るゴンドリエはイタリアの歌を歌い、耳をすませばイタリア音楽のBGMが聴こえてきます。
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日常という雑味を無くして、誇張することで、夢のある非日常空間を生み出しているんですね。
パークのこだわりを知ると楽しい!
私自身、ディズニーパークのテーマショーに魅せられた多くのゲストの一人です。
テーマを演出する数々のこだわりは、知っていると一層楽しく過ごせますし、新たな魅力を発見することもできますよ。
皆さんもぜひテーマショーに注目してパークを楽しんでみてくださいね。